マタニティ歯科– マイナス1歳からの予防歯科 –

なぜ「マイナス1歳」から?妊娠期の歯科ケアが大切な理由

妊娠中のお母さまと、これから生まれてくるお子さまのお口の健康を守るマタニティ歯科に取り組んでいます。「マイナス1歳からの予防」という考え方をもとに、妊娠期からの歯科ケアをサポートいたします。

マタニティ/妊婦のイメージ

「マイナス1歳」とは、赤ちゃんがお母さんのお腹にいる妊娠期間のことを指します。お子さまの歯の健康を守るためには、生まれてからではなく、妊娠中から準備を始めることが効果的です。

「KEEP28」という言葉を聞いたことはありますか?これは、28本ある永久歯をすべて健康なまま生涯守り続けようという歯科予防の目標です。この目標を達成するためのスタートラインが、実は妊娠期にあるのです。

むし歯菌はどこから来る?感染のメカニズムを解説

生まれたての赤ちゃんのお口は無菌状態

驚かれるかもしれませんが、生まれたばかりの赤ちゃんのお口の中には、むし歯の原因となるミュータンス菌は存在しません。では、どのようにしてむし歯菌がお口に入るのでしょうか。

答えは、周囲の大人からの「感染」です。お母さん、お父さん、祖父母など、赤ちゃんと接する機会の多い大人の唾液を介して、むし歯菌は赤ちゃんに移ります。

日常生活に潜む感染リスク

以下のような行為が、むし歯菌の感染経路となることがあります。

  • 同じスプーンやお箸を使って食事を与える
  • 大人が食べ物を噛んで柔らかくしてから与える
  • 熱い食べ物に息を吹きかけて冷ます
  • コップやペットボトルの共有
  • 口へのキスなどのスキンシップ

「感染の窓」と呼ばれる重要な時期

むし歯菌が定着しやすい時期は、生後19か月頃から31か月頃(1歳7か月〜2歳7か月頃)までの約1年間です。歯科ではこの期間を「感染の窓」と呼んでいます。

この時期に感染量を最小限に抑えられれば、3歳以降はむし歯菌に感染しにくくなり、将来的にむし歯のリスクが大幅に下がります。そのためには、お子さまに接する大人、特にお母さまのお口を清潔に保っておくことが重要なのです。

歯周病と妊娠の深い関係|早産・低体重児のリスク

歯周病が妊娠に与える影響

妊娠中の歯周病は、むし歯菌の感染予防だけでなく、妊娠そのものにも影響を及ぼす可能性があります。研究によると、歯周病にかかっている妊婦さんは、早産や低体重児出産のリスクが高まる可能性が指摘されています。

歯周病が進行すると、歯ぐきから放出される炎症物質が血液を通じて全身をめぐります。この物質が子宮に到達すると、子宮収縮を促す作用があるとされています。

妊娠中は歯周病リスクが高まる時期

妊娠中は、以下の理由から歯周病のリスクが高まります。

  • 女性ホルモンの分泌量が増加し、歯周病菌が活性化しやすくなる
  • つわりにより十分な歯みがきが難しくなる
  • 唾液の分泌量が減少し、お口の自浄作用が低下する
  • 食事回数や間食が増えやすい

「妊娠性歯肉炎」という言葉があるように、妊娠中は歯ぐきのトラブルが起きやすい時期です。歯ぐきの腫れや出血に気づいたら、早めにご相談ください。

妊娠中の歯科治療は安心して受けられます

「妊娠中に歯科治療を受けても大丈夫?」という不安をお持ちの方も多いと思います。ようこう歯科では、妊娠中の患者さまにも安心して治療を受けていただける体制を整えています。

レントゲン撮影について

お口の中の状態によって、治療上必要な場合のみ撮影させていただきます。歯科用レントゲンの放射線量は非常に微量です。撮影部位はお口であり、お腹から離れています。さらに防護エプロンを着用していただきますので、赤ちゃんへの影響はほとんどないと考えられています。

麻酔について

歯科治療で使用する局所麻酔は、注射した部位で分解されるため、胎盤を通じて赤ちゃんに届くことはありません。この麻酔薬は、帝王切開や無痛分娩でも使用されるものと同じ成分です。痛みを我慢しながらの治療は、かえってお母さまと赤ちゃんのストレスになりますので、必要に応じて麻酔を使用いたします。

お薬について

治療上お薬が必要な場合は、妊婦さんでも比較的安全に使用できる薬剤を選択します。ご心配な場合は、かかりつけの産婦人科と連携して対応いたしますので、お気軽にご相談ください。

妊娠時期別の歯科受診ガイド

妊娠初期(〜15週頃)

つわりがつらい時期です。体調に合わせて歯科検診を受けていただき、歯みがき指導を中心に行います。積極的な治療は安定期まで待つことをおすすめしています。

妊娠中期(16週〜27週頃):治療のベストタイミング

いわゆる安定期です。つわりも落ち着き、お腹もまだ大きくないこの時期が、歯科治療を受けるのに最も適しています。むし歯の治療、歯石除去、歯周病治療など、必要な処置をこの時期に済ませておくと安心です。出産後は育児に追われて通院が難しくなることも多いため、安定期のうちにお口の環境を整えておきましょう。

妊娠後期(28週以降)

お腹が大きくなり、診療台に横たわることが負担になってきます。この時期は応急処置にとどめ、本格的な治療は出産後に行うことが多いです。

赤ちゃんの歯はお腹の中で作られています

赤ちゃんの乳歯の芽(歯胚)は、妊娠7〜10週頃から形成が始まります。妊娠4〜5か月頃からは、カルシウムやリンが沈着して硬い組織へと成長していきます。一部の永久歯の形成も妊娠期から始まります。

「妊娠中は赤ちゃんにカルシウムを取られて歯が弱くなる」という話を聞いたことがあるかもしれません。しかし、お母さんの歯からカルシウムが溶け出して赤ちゃんに届くということはありません。妊娠中に歯のトラブルが増えるのは、つわりやホルモンの変化によってお口のケアが難しくなることが主な原因です。

お子さまの健康な歯を守るために、今できること

28本すべての永久歯を生涯にわたって健康に保つことは、決して難しいことではありません。幼児期から定期的なメインテナンスを続けることで、20歳になっても永久歯にむし歯がない状態を維持できることが、多くの研究で明らかになっています。

80歳になっても自分の歯でおいしく食事ができる——そんな未来をお子さまにプレゼントするためのスタートが、「マイナス1歳」、つまり妊娠期なのです。

妊娠がわかったら、つわりが落ち着く4〜5か月頃を目安に、ぜひ一度歯科検診にお越しください。国立市のようこう歯科では、妊娠中のお母さま、そして生まれてくる赤ちゃんのお口の健康を、出産後も継続してサポートいたします。

ご予約・お問い合わせ

妊娠中の方、妊活中の方のご相談を承っております。ご予約の際は「マタニティ歯科希望」とお伝えいただくとスムーズです。

※妊婦歯科健康診査の受診券をお持ちの方は、母子手帳・保険証とあわせてご持参ください。

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